製造業表示規約(公正競争規約)
製造業表示規約
(家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約)
対象製品:家電品全般
但し、住宅設備として予め住宅に付加されているもの、また自動車で使用されるもの、及び業務用として使用される目的で設計製造されたものは除かれます。
概要: 景品表示法第11条に事業者又は事業者団体は、景品類、表示に関する事項について、消費者長官及び公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための協定又は規約(公正競争規約)を締結、設定することができるとしています。これを受け、事業者団体である全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が製造業表示規約(公正取引委員会認定)を定め、表示内容および方法の具体的な規格を定めているのが、この規約となります。
通常、自主規制を強制することは独占禁止法に違反する可能性が高いですが、公正競争規約は景品表示法に基づき、消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けるものなので、独占禁止法に問われることはありません。
また、企業は家電公取協に参加し、規約を遵守していれば、景品表示法違反に問われることもありません。
製造業表示規約は、消費者が安心して家電品を選択し、購入した後も正しく使うために適切な情報を表示することを定めています。また、事実と相違する表示や事実を誇張した表示などの不当な表示の禁止を決めています。また、仕様・性能・特徴等表示必須項目を定め、広告、カタログ、取扱説明書、保証書、本体表示等への表示方法を定めています。この他、特定用語の使用基準、特定事項の表示、希望小売価格等の表示についても規定しています。
ピアノ、電子楽器などの鍵盤楽器については「鍵盤楽器公正取引協議会」という団体も存在します。
対応策: 輸入者は家電公取協に参加しなくとも、その内容に準じた保証書、取扱説明書、広告、カタログの作成をし、それらや本体への表示内容を守らなければ、景品表示法に抵触する恐れがあります。よって、製造業表示規約の内容を吟味し、守った方が良いでしょう。
カタログの表示事項
対象製品: 家電全般
概要: 公正競争規約(家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約(略称:製造業表示規約))第5条 事業者は、カタログを作成する場合は、次に掲げる事項を施行規則で定めるところにより、明瞭に表示しなければならない。
(1) 事業者の名称及び所在地
(2) 品名及び形名
(3) 仕様
(4) カタログの作成時期
(5) 補修用性能部品の保有期間
(6) その他家電品の選択又は購入において参考となる事項
(7) カタログの内容についての問い合わせ先及び販売店名記載欄
用途の異なる多数品目について総合的に記載したカタログについては、上記(3)及び(5)の表示を省略することができます。省略した場合には詳しい内容を知る方法を表示しなければなりません。
対応策: 家電公取協に参加していなくとも、上記内容を守らなければ景品表示法に抵触する可能性があるので、輸入品といえどもカタログを作成する場合には、上記内容を守ることが肝要です。
補修部品保有年数の表示
対象製品: 下記表の家電製品
概要: 補修用部品の保有年数を表示するにあたって表の右欄の年数を下回ることはできません。
製品名 |
年 |
製品名 |
年 |
製品名 |
年 |
製品名 |
年 |
カラーテレビ |
8 |
エアーコンディショナー |
9 |
ラジオ |
6 |
電気アンカ |
6 |
白黒テレビ |
8 |
電気パネルヒーター |
6 |
電気釜 |
6 |
電気コタツ |
6 |
電気ストーブ |
6 |
屋外排気式石油ストーブ |
7 |
冷水器 |
8 |
電子レンジ |
8 |
電気井戸ポンプ |
8 |
開放式石油ストーブ |
6 |
冷風扇 |
8 |
電気ポット |
5 |
電気カミソリ |
6 |
ミキサー・ジューサー |
6 |
扇風機 |
8 |
電子ジャー |
6 |
電気コンロ |
5 |
テープレコーダー |
6 |
換気扇 |
6 |
ロースター |
5 |
電気冷蔵庫 |
9 |
ズボンプレッサー |
6 |
電気毛布 |
6 |
トースター |
5 |
電気洗濯機 |
6 |
ヘアーカーラー |
5 |
アイロン |
5 |
|
|
電気掃除機 |
6 |
ウィンドファン |
6 |
ステレオ |
8 |
|
|
対応策: 表示例は以下の通りとします。
「当社は、この○○○○(家電品の品名)の補修用性能部品を製造打切後○年保有しております。」
取扱説明書の必要表示事項
対象製品: 家電全般
概要: 公正競争規約(家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約(略称:製造業表示規約))第6条 事業者は、取扱説明書を作成する場合は、次に掲げる事項を施行規則で定めるところにより、明瞭に表示しなければならない。
(1) 事業者の名称及び所在地
(2) 品名及び形名
(3) 仕様
(4) 主要部分の名称、働き及び操作方法
(5) 付属品の名称及び数
(6) 取扱上の注意事項
対応策: 輸入者は家電公取協に参加していなくとも、家電公取協の製造業表示規約を守ったほうが良いでしょう。守らない表示をした場合には、景品表示法違反となる可能性があります。また、ISO3862-2等国際規約では、取扱い上の注意は母国語で表示することとされているため、輸入製品の取扱説明書が外国語で書かれている場合、最低限注意事項は日本語に訳したものである必要があります。輸出する場合においても同様で、輸出国の言語で取り扱いの注意事項は表記しなければなりません。
保証書
対象製品:家電全般
概要: 公正競争規約(家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約(略称:製造業表示規約))第7条 事業者は、保証書を作成する場合又は取扱説明書の一部を保証書とする場合は、次に掲げる事項を施行規則で定めるところにより、明瞭に表示しなければならない。
(1) 保証書である旨
(2) 保証者の名称、所在地及び電話番号
(3) 品名及び形名
(4) 保証期間
(5) 保証対象となる部分
(6) 保証の態様
(7) 消費者の費用負担となる場合があればその内容
(8) 保証を受けるための手続
(9) 適用除外に関する事項
(10) 無料修理等の実施者
(11) その他施行規則で定める事項
また、経済産業省の「保証制度に係わる実務の改善について」という通達に基づいて内容を記載することも求められています。
対応策: 景品表示法違反にならないためにも上記規約および通達を守る必要があります。
本体の必要表示事項
対象製品: 家電全般
概要: 公正競争規約(家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約(略称:製造業表示規約))第8条 事業者は、家電品の本体に電気用品安全法及び家庭用品品質表示法に基づく表示を行うほか、次に掲げる事項を施行規則で定めるところにより、明瞭に表示しなければならない。
(1) 原産国名(国名で表示することが適切でない場合は、原産地名)。ただし国産品であるものについては除く。
(2) 前号の規定にかかわらず、原産国について誤認されるおそれのある国産品については国産品である旨
(3) 施行規則で定める家電品については製造時期
対応策: 誤解を与えない原産地表記が必要です。また、製造時期および電安法並びに家庭用品品質表示法に掲げる内容を本体に記さなければなりません。記す場所は、消費者から分かりやすい場所となっていますので、定格銘板内が一般的です。定格銘板は、通常の電気製品では裏側に貼られていますが、冷蔵庫においては扉の内側が一般的となっています。
希望小売価格等の表示
対象製品: あらゆる製品
概要: 公正競争規約(家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約(略称:製造業表示規約))第12条 事業者は、希望小売価格(あらかじめカタログ等により一般消費者に 公表されているもの)等の表示に当たっては、次の各号に定めるところによらなければならない。
(1) 希望小売価格がある場合は、「希望小売価格」の名称を用いて表示をすること。
(2) 希望小売価格に含まれないものがある場合は、その旨を明瞭に表示すること。
(3) 希望小売価格がない場合は、カタログ等にその旨を明瞭に表示すること。
(4) 希望小売価格がない場合において、小売業者向けカタログ等で、一般消費者が希望小売価格と誤認するおそれのある名称を用いて価格表示をしないこと。
2 事業者は、市場価格と著しくかけ離れた希望小売価格を表示してはならない。
対応策: 希望小売価格がある場合は上記を守り、表示します。希望小売価格を小売店等再販事業者に強要すると、独占禁止法違反となります。
景品表示法
輸入するときに知っておくべき法令や制限、自主規制をまとめています