自主検査を行う (法8条第2項検査)
■ 自主検査を行う
PSE届出を行った製品は、全数自主検査を行なわなければなりません。
輸入業者の場合は、自社で検査することが難しいので(技術的にではなく、適合試験の合格証に書かれている工場で行わなければならないので、大概は海外の取引先ということになるので)、メーカーに頼んで全数検査をしてもらわなければなりません。
■ メーカーに出荷品全数検査を行わさせる
これは、あくまでも全数検査です。抜き取り検査は認められません。万が一にでも、抜き取り検査で検査しなかったものから事故が起こったら大変です。
■ メーカーの検査結果記録を取り寄せる。
全品検査した検査結果を取り寄せなければなりません。1000本購入したのに、980本の検査記録簿であれば20本は不良品が混ざっているということになります。1000本購入するなら1000本の検査結果が必要です。シリアル番号がついている製品なら、検査記録で不良とされた製品が受け入れ品にないかのチェックも必要です。1000本購入して1020本の検査記録簿があり、20本は工程の途中で不良として除外された品であった場合、その20本は入荷していないことが確認できていますか?
■ 記録は3年間保存する
海外メーカーから取り寄せた検査記録は3年間保存しなければなりませんが、できるだけ長い間保存するように努めましょう。
電気用品安全法第8条
届出業者は、第三条の規定による届出に係る形式の電気用品を製造し、又は輸入する場合においては、経済産業省令で定める技術上の基準に適合するようにしなければならない。
2 電気用品について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。
罰則: 検査を行わず、検査記録を作成せず、もしくは虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかった者は、三十万円以下の罰金に処する。 |
検査項目としては、電気用品により異なりますが、大体は外観検査、絶縁耐力検査、通電検査の3種類は必須です。
外観検査は、割れ、バリがないことを確認します。ユーザーが怪我をしないようにするためです。
絶縁耐力試験は1000Vで1分間の絶縁性があるかどうかです。使用していて感電することの無い様、漏れ電流の有無を測定します。また、通電試験は通常の電圧で通常使用する機器が動作するかどうかを判断します。これらの検査を行っていないとか、抜き取り検査であるというならば、設計上は問題がなくとも、中には不良品が混じっている可能性があるので、全品検査しなければなりません。1万台作っても1台が不良品であれば、その1台から火事が出たり、感電事故が起こったりするからです。
また、シュレッダー等試験用の模擬指が怪我をしないか確かめる試験など、製品によって他にも行わなければならない試験があります。
上記全品検査はメーカーの出荷検査記録簿をコピーして現品に付けて納品してもらえれば良いので、そんなに難しい要求ではありません。全品検査のデータを出したがらないとか、データがないメーカーとは取引しないで下さい。
しかし、法8条第2項でいう検査項目は上記の全品検査だけではなく、材料の検査、および製造工程での抜き取り検査も必要です。これは購入した素材のロットが変わったとか、製造設備が正しく維持できているかといった目的で行われる検査内容ですので、海外メーカーの品質管理検査または信頼性試験となります。全品検査は製造部が行うものですが、これらは品質管理部が行うものです。これを毎回でなくとも良いので、正しく運営されているかチェックするためにも時々入手するようにしてください。
取り寄せるタイミングとしては、材料検査は購入した材料のロットが変わったときなどです。購入材料が毎回均一の品質であるかどうかを確保するためです。抜き取り検査は完成品から数台を取り出し、適合検査のような内容の検査を行います。長期間に渡って製造していると、機械の調整が少しずつずれてきたりして品質に変化が起こる可能性があります。製造開始と同じ品質で製造できているかを確かめるために時々行います。
法第8条第2項試験内容
項目 |
試験時期 |
電気製品の別 |
試験内容 |
製造工程において行う試験 |
部品、材料の受け入れ検査 |
特定電気製品のみ |
構造、材料、性能について行う
新ロットの部品を買ったときなど |
完成品について行う試験 |
完成品の全数検査 |
特定電気製品、
特定電気製品以外の
電気製品の両方 |
外観(バリ、割れ、欠けのないこと。
PSEマークが正しいこと)
絶縁耐力試験 (1000Vを1分間の漏電試験)
通電試験(通常一緒に使用する機器が
立ち上がるか) |
試料について行う試験 |
完成後、良品から抜き取り
ラインの変更、機器の調整後など |
特定電気製品のみ |
適合検査基準に合っているかの検査。
完成品の全数検査合格品から少量の抜き取り。 |
以上を踏まえた、検査記録簿の例:
検査記録簿 (例)
品名: ABC−200 (形式区分: 直流電源装置 )
検査日: 2015年 5 月 10日
検査場所: EIL電機 第3工場 第1検査ライン
検査数量: 100 個
シリアル番号 |
検査結果 |
検査者 |
備考 |
外観 |
絶縁耐力 |
通電 |
0001〜0099 |
OK |
OK |
OK |
YO |
|
0002 |
OK |
OK |
OK |
YO |
|
0003 |
OK |
OK |
OK |
YO |
|
。。。。 |
|
|
|
|
|
0099 |
OK |
OK |
OK |
YO |
|
試験方法および合格基準:
■ @外観検査:確認事項:傷、割れ、バリがないこと。
定格銘板に正しく表示されていること。
定格銘板の正しい表示のサンプルは作業指示書を参照。
■ A絶縁耐力試験: 確認事項: 電気用品に必要電圧を印加して、絶縁不良が無きこと。
耐圧印加電圧: 1,000Vac@ 1分間
電圧印加箇所: 入力←→AC/DCアダプターの外箱(プラスティック部
使用試験機器:HIOKI 3158 圧力試験機
■ B通電検査: 確認事項:電気用品に定格入力を印加して、問題なく動作すること
使用試験機器: サイネージコントローラ A-123C
■構造、材料、性能の概要は、仕様書( ABC-200 )による。
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