行政書士 EIL国際法務事務所

著作権


■ 著作権の種類

下記に著作権の種類と権利保有者の関係を示します。○がある部分が権利のある部分です。例えば、著作権の本体である複製権の侵害をした場合には、権利者は著作者のみならず、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者の保有する権利を侵害したことになります。レコード製作者は自身の権利の主張で有って、著作者の権利を代弁しているわけではありません。
例を挙げると、音楽の場合、著作者は作詞家・作曲家です。演奏者や歌手は実演家と言い、作詞・作曲されているものを表現する人で、音楽をコピーしても歌手の複製権を侵害している訳ではなく、TVや有線放送なら放送事業者の権利を、レコード・CD・DVDならレコード製作者の権利を侵害しており、著作者である作詞家・作曲家の権利を侵害しているということになります。

著作権法

著作者

著作隣接権者

実演家

レコード製作者

放送事業者

有線放送事業者

著作者人格権

(一身専属)

公表権

ない

氏名表示権

同一性保持権

著作権支分権

(著作財産権)

複製権

上演権・演奏権

上映権

公衆送信権等

口述権

展示権

頒布権 (映画のみ)

譲渡権 (映画以外)

貸与権 (映画以外)

翻訳権・翻案権

二次的著作権物の利用に関する原著作者の権利

出版権

著作隣接権

録音・録画権

○ワンチャンス主義

放送権・有線放送権

再放送権・有線放送権

放送権・再有線放送権

送信可能化権

伝播権

商業用レコードの2次的使用料を受ける権利

権利期間

死亡(無名は公表)の翌年1月1日から50年

映画の公表の翌年1月1日から50年

実演を行った時に始まり、翌年1月1日から50年

音を最初に固定したときに始まり、その発行の翌年1月1日から50年

その放送を行った時に始まり、翌年1月1日から50年

その有線放送を行った時に始まり、翌年1月1日から50年



 著作権の譲渡

著作権本体は核をなすのは複製権であり、その他の色々な権利があり、これら一つずつを支分権と言い、支分権をバラバラに譲渡することができます。海外で出版する会社に翻訳権と出版権だけを譲渡するなどです。
著作権を全て譲渡するという契約をしても、全てが譲渡される訳ではありません。

1.翻訳権・翻案権、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は譲渡されません。
著作権法61条に下記条文があります。27条というのは翻訳権・翻案権等を指し、28条は二次的著作物の利用に関する原著作者の権利を指します。
「(著作権の譲渡)第六十一条  著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
2  著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。」
よって、翻訳権・翻案権等、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利も譲渡する場合は、「著作権(著作権法第28条および第29条を含む)を譲渡する」と譲渡契約に記す必要があります。

2.著作隣接権や著作人格権は譲渡されません。
上記、28条・29条も譲渡する契約をしたとしても、著作人格権は譲渡されません。
バージョンアップや編集・編曲などが予想される場合には、「著作人格権を行使しない」という特約をすることで、著作人格権は著作者から得ることができないにしても、権利を行使されるのが防げるということになります。
著作者は著作隣接権を元々持っていないので譲渡できません。
著作隣接権者が譲渡するのは可能です。(レコード会社が他のレコード会社に権利を譲渡するなど)

 TPP後の著作権
現在著作権の権利期間は50年(映画の場合は70年)となっていますが、TPPが発効されると、70年になります。
また、著作権はベルヌ条約により、無方式主義が取られていますが、TPPが発効されると海外との争いが多くなる可能性があります。無方式主義は便利ですが、主張するときの証拠に苦慮します。
登録することで、その時には著作されていたということの証明がされます。また、東京オリンピックエンブレム問題でも、応募作品を組織委員会が修正させたのも著作権登録がされているものと似ているからであり、登録されていない著作権が争いを起こすのは相当の根拠がないと勝てないと思われます。

著作権は無方式主義だからと、何もしないのではなく、登録されてはいかがでしょうか。

特に、プログラム著作権は完成したプログラム自体をCDにして、ソースやオブジェクトを提出する必要がありますが、登録情報の公開でプログラム自体が公開されることはありませんので、他人が登録情報を見て真似をするということはありません。プログラムはモジュール単位でも登録できます。

今まで日本人同士の阿吽の呼吸で放っておいた方も多いとは思いますが、国際的な垣根が低くなると誰から何を訴えられるかわかりませんので、登録することをお勧めいたします。

※無方式主義とは、著作権の発生・主張に登録が要らないということで、著作したときに権利が生じるということです。特許など他の知的資産は登録していないと権利の主張ができない(方式主義である)ことに対し、著作権のみ無方式主義となっています。


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